『生きる哲学』(若松英輔著、文春新書、2014年)
『生きがいについて』(神谷美恵子著)からの次の引用に、心を動かされるものを感じる。
「君は決して無用者ではないのだ。君にはどうしても生きていてもらわなければ困る。君でなくてはできないことがあるのだ。ほら、ここに君の手を、君の存在を、持っているものがある。 もしこういうよびかけがなんらかの「出会い」を通して、彼の心にまっすぐ響いてくるならば、彼はハッとめざめて、全身でその声をうけとめるであろう。」
「生きがい」の根幹は、他者から必要とされることだと神谷は言うのである。
また、同じく『生きがいについて』からの次の引用にも心をつかまれる。
「平穏無事なくらしにめぐまれている者にとっては思い浮かべることさえむつかしいかも知れないが、世のなかには、毎朝目がさめるとその目ざめるということがおそろしくてたまらないひとがあちこちにいる。ああ今日もまた一日を生きて行かなければならないのだという考えに打ちのめされ、起き出す力も出て来ないひとたちである。たとえば治りにくい病気にかかっているひと、最愛の者をうしなったひと、自分のすべてを賭けた仕事や理想に挫折したひと、罪を犯した自分をもてあましているひと、ひとり人生の裏通りを歩いているようなひとなど。」
『生きがいについて』は、一度じっくり読んでみたいと思う。